三遊亭円丈師匠は寄席の未来を常に憂いていました
ヘビースモーカーだった師匠がたばこをやめたので理由を聞いたら「肺気腫が怖い」とのこと。死ぬのは構わないが肺気腫で落語を話せなくなるのがイヤだからだと言ってました。
「新作でかなわないと思う古典落語ってあるんですか」と聞いたときは「円生(円丈師匠の師匠)の百年目」と即答されました。続けて「感情の揺れ動きをあれほど表現できる落語を俺は作れてない」と。
うちの師匠円歌も新作派でしたが一つの噺(はなし)をずっとやるタイプでした。生前「円丈はグリコ少年だけやってればもっと売れた」と言ってましたが円丈師匠の闘いは世間の評価や稼ぎを超越したもっと崇高なものだったのでしょう。新作落語だけでなく落語界全体に多大な影響を与えた救世主いや英雄の円丈師匠。合掌。