私が前座の頃の真打ちは100人ぐらいでしたが…今は多すぎます
新年おめでとうございます。今年もたわいもない文ですがお付き合いいただければ幸いです。
我々噺家はお正月の1~10日の寄席を初席と言い顔見世興行をおこなってます。ただ顔見世興行ということは落語協会に所属する真打ちの噺家を全員顔付けしなければなりません。上野鈴本演芸場が1~3部、浅草演芸ホールが1~4部、浅草東洋館(5日間)が1~3部ありますが、1人で10日間入れるのはよっぽどの大看板です。
大概は2人の交互出演で5日ずつの出番だったり3人交互や4人交互というのが通常です。私が入門した二十数年前はこんなんじゃなかったんですけどね。名前は見たことあるけど会ったことのない普段寄席には出てこない(出られない)師匠たちが5人交互とかでは入ってましたが、あとはみんな1人で入ってたんですよ。
じゃあ今はなんでこんなに3人交互や4人交互になってるかというとひとえに真打ち多すぎってことです。今回の原稿書くためちょっと調べてみたら現在およそ210人ほどの真打ちがいるんです。私が序列では150番目ぐらいで下にも60人ぐらいいるんですね。そして私が前座の頃だと100人ぐらいしか真打ちはいなかったようです。だからみんなが10日間出られたんですね。でもここ10年でも60人真打ちが増えてるんですから今後も10年で50、60人は増える計算です。えっ? 減ってる人数は?いえいえ増えてるのと減ってるので計算して60人増えてます。思いのほか死んでないんですね、噺家って。5年前から浅草東洋館は開演時間を10時から9時30分に早めることで出演者の枠を増やしてますが、今後も真打ちが増えすぎると9時、8時30分とどんどん早まっていくかもしれません。交互出演も5人交互や6人交互になってるかもしれません。
激しい初席の出番争いですが、わたしは今年も浅草東洋館の5日間と上野鈴本演芸場の3人交互で3日間の出演ができました。来年もこの枠を守るために今年も精進します。