NHK「あたらしいテレビ2022」を見てわかった若者のテレビ批評
かまいたち山内「ついていけない」
それにしても日本テレビの「笑う大晦日」はひどかった。わざとグダグダにして「やっぱりダウンタウンじゃないと」と待望論が噴出し、次からまた「笑ってはいけない」シリーズに戻そうというもくろみかと思ったほど。あまりにもお粗末過ぎた。
それにしても、年末年始の番組はどこも「お笑い」と「グルメ」、そして時々「新庄ビッグボス」と金太郎アメのようなラインアップで辟易とした。
テレビ離れの加速を憂いつつ、元日、NHKの「あたらしいテレビ2022」を見た。もともとは「新春TV放談」としてテレビについてああだこうだと言うものだったが、それが「あたらしいテレビ」になり、昨年などは出演者のオススメがほぼほぼネット配信の作品ばかりで愕然としたものだ。
今年はというと、少し改良され「未来のテレビ あたらしいテレビについて考える」をテーマに「ドラマ好き」「バラエティー」「若者」のくくりでトークを行い、それを別スタジオで見る仕組み。今回もオススメが「メア・オブ・イーストタウン」(U-NEXT)や「レイズド・バイ・ウルブス」(同)などと配信の作品が多く、それを見たかまいたち山内が「このトークついていけない。全部知らない」と嘆く場面も。
岸井ゆきの「アンテナが折れている」
女優の岸井ゆきのは「地上波のアンテナが折れてる」とポロリ。それでも困らないのは地上波は必要ないということだろう。
興味深かったのが「U-18 次世代を担う若者たち」のくくりで出てきた10代インフルエンサーたち。
「平成初期に放送されてたものが好き。そういう面白みが今あんまりない」とカリスマ女子高生。TikTokフォロワー280万人の女子は「何やってるか全然わからない」。
「番組表って見にくくない? YouTubeとかって一枚ついてるじゃん、画像とか」と高校生エンジニア。さらに「いつ始まるかわからないから途中から見てもわけわからない」「携帯が便利すぎ」「スマホで見づらくね? テレビって」「テレビの話全然しない」「(スマホは)自分の好きなモノが全部入ってる」……。テレビ視聴時間は揃いも揃って「0分」って、こりゃダメだ。
菅田将暉「ハンドメード感が…」
最後に菅田将暉が「いろんな技術がすごく進んできてるじゃないですか……そればっかを見てるとどんどん日常と違うものをみんなが見過ぎるようになると、寂しい。いつだって人の手で作ってるんだよというのは多分変わらないので、そういうハンドメード感がちゃんと残っていけば」と。
インフルエンサー280万人がどうした! テレビは1%100万人見てるんだぞという気骨のある制作者がいないのが残念。こわっぱどもの声など無視し、オワコンと言われようが、ブレずに作りたい番組を作れば、と思う。