<132>マコやんは2019年3月末で野崎さんの会社「アプリコ」をクビになった
「お疲れさまでした」
「なんか釈然としないけど、文句を言ってもしゃあないからのぉ」
2019年4月に入ってから、私は田辺市内の居酒屋でマコやんと向かい合っていた。彼は3月末日で、野崎幸助さんの会社「アプリコ」をクビになったので、慰労するためでもあった。南紀はすっかり春らんまんだったが、課題山積の私の気持ちはスカッと晴れてはいなかった。
番頭格のマコやんとベテランの前原さんが辞めたので、アプリコに残ったのは金庫番の佐山さんだけになった。彼女は自分の娘をアルバイトとして雇わせて、2人でアプリコに出勤して和気あいあいと気楽な日々を送っていた。
これらを差配していたのは早貴被告の弁護士のようで、「早貴さんの意向だから」と言っていたと聞いたが、本当なのかは分からない。早貴被告からは弁護士にレクチャーされたと聞いていたので、操り人形のようではなかったのか。
「マコやんがドン・ファンの通夜の時に『佐山さんはアプリコに最後まで残るつもりだから』と言っていたことが当たりましたね」