くすぶっていた森七菜に“完全復活”の兆し 是枝裕和監督初のNetflixシリーズで堂々の主演
昨年1月の所属事務所の移籍で失速気味だった森七菜(20)に完全復活の兆しだ。是枝裕和監督の初のNetflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」で、“まかないさん”の野月キヨ役で主演を務め、間もなくドラマが配信される。小山愛子の原作コミックは累計発行部数は200万部を超えるベストセラー。まずNHKワールドJAPANでアニメ化され、2021年10月からEテレでも放送されている。花街を舞台に、舞妓たちの毎日の食事を作るまかないさんと、舞妓たちのほっこりした日常が描かれる。アニメは女児とその親たちに広く支持されている。
森にとっては、ファン層の裾野が広い作品で主演を務めること自体が追い風だが、さらに大きいのが、今回の配信ドラマでメガホンを取るのが今年のカンヌ国際映画祭で世界中から称賛を集めた是枝裕和監督ということだ。エキュメニカル審査員賞に選ばれた「ベイビー・ブローカー」は、欧米の記者たちには“赤ちゃんポスト”やその赤ちゃんに“ブローカー”が存在することが特別奇異に映ったようで、世界中の報道番組でも取り上げられた。映画関係者やファンならずとも「万引き家族」「ベイビー・──」に続く次の是枝監督の作品テーマに注目が集まっている。ドラマ「舞妓さん──」はそんなタイミングで配信を迎えるわけだ。
「関係者が注目しているのは『舞妓さん──』のキャスティングです。カンヌの公式会見で外国人記者から『映画の中で最もキャスティングに苦労したのは?』と聞かれた監督は『赤ちゃんです』と答えました。周囲の音に敏感に反応する赤ちゃんをしっかり見極めて合格させたそうです。このやりとりに象徴されるように、監督のキャスティングは業界内ではハードルがかなり高いといわれ、高い演技力はもちろん、役柄への順応性や息遣いが求められるといいます。森はもちろん、まかないさんの親友である舞妓役を演じる出口夏希(20)、蒔田彩珠(19)、橋本愛(26)、松岡茉優(27)らは是枝監督から“お墨付き”をもらった女優ですから、これが世界デビューのきっかけになる可能性は十分にあります」(芸能プロ関係者)
将来を嘱望されながら移籍騒動でつまずく
業界内では“オーディションキラー”と呼ばれ将来を嘱望されていた森だが、移籍騒動でつまずき、「ソニー・ミュージックアーティスツ」と業務提携する形で一応の決着はみた。ただ、そのイメージを引きずったまま準主演を務めた今年1月期の「逃亡医F」(日本テレビ系)の世帯平均視聴率は7%強と存在感を示しきれなかった。役どころもキャスティングも最軽量で、森の良さが全くといっていいほど生かされなかったことが敗因だろう。「演技力は高いのにもったいない……」と、くすぶる森を気の毒に思う人がいる中で飛び込んできたのが、今回の是枝監督のカンヌでの大活躍のニュースだったわけだ。
「森には何か強い運のようなものを感じますね。この『舞妓さん──』だけにかかわらず、今、世界の映像関係者の間ではNetflixが製作する日本を舞台とした作品に熱い視線が集まっているんです。そのきっかけとなったのは渡辺謙(62)、菊地凛子(41)が出演する『TOKYO VICE』。この作品にハリウッドの映像製作者たちの間からは『YAKUZAをもっと深く作品にしたい』という声がたくさん上がっています」(前出の芸能プロ関係者)
世界的なうねりの中で、人気作品で話題の演出家にキャスティングされた森の汚名返上の舞台装置は完全に整ったと断言していいだろう。