【追悼】葛城ユキさん 「大事故の退院前日に飲んだビールが人生最高の味」
「今までナイショにしてきたんだけど、私にとって人生最高の味は退院の前日に飲んだビール」と話し始めた。
「2カ月間入院したんですが、最初の1カ月は地獄のような日々。体を1ミリも動かせなくて、せきもできないし、悲しくても泣くこともできない。モルヒネもきかなくて夜も2時間で目が覚めてしまう。気がおかしくなりそうでした」
そして2回目の手術も成功し、明日が退院という日に関係者にこっそり寿司と一緒に350ミリリットルの缶ビールを買ってきてもらった。ビール党で、ビールなら瓶ビール5本くらいすぐに空けていたという葛城さん。
「これまで飲んできたどんなビールよりもおいしかった。入院生活の苦しさも吹っ飛びました」
病院でアルコールは厳禁だから、飲み終わった缶はわからないように捨ててもらった。事故から7年後、取材は渋谷で、写真撮影が行われたのは、のんべい横丁だった。
ビールを飲みながら葛城さんの豪快な歌声を聴きたいと思っているファンには感慨深い話ではないか。
(文=峯田淳/日刊ゲンダイ)