愛バイクがまさかのエンスト 笹子トンネルで恐怖に怯え続けた俺
ゴオオオオ、ゴオオオオオ、ゴオオオオオ……さっきから俺の目の前70~80センチのところをひっきりなしに大型トレーラーが100キロほどのスピードで通り過ぎていく。
その日、2022年5月30日、月曜日、俺は愛バイクKAWASAKI、W650にまたがり息子、虎太郎のYAMAHA、SR400と中央高速道路を山梨県南アルプス市へと快調に走らせていたのだった。
目的はコロナ禍で会っていなかった友人の和菓子屋、松の屋の飯野さんと合流して、さくらんぼ農園を営む西村農園の清水さんのビニールハウスでさくらんぼ狩り前の初物をもぎ取って頬張ろうというものだった。
ところが、東京からおよそ58キロ地点にある、渋滞情報で必ず登場する談合坂SAで休憩をとった時にはエンジンは絶好調、喫煙スペースでは微風に漂うたばこの煙をたそがれるように見つめながら、およそ63歳の老体には似合わない「久しぶりに風になるぜ」とつぶやいてまでいたが……。
大月JCTを越え、笹子トンネルの手前で突然それまで俺が右手のスロットルを回すと即答で回転が上がったエンジンが??? 思い通りになっているのか? いや、そういう感触とはまったく別物の力弱さである。