橋本環奈「カラダ探し」、円井わん「MONDAYS」…“タイムループ映画”人気の謎解き
海外でも主人公が田舎の祭事の日を何回も経験する傑作コメディー「恋はデジャ・ブ」(93年)をはじめとして、エイリアンと戦う弱小兵士が、殺されてループを繰り返すことで、最強戦士へと変貌していくトム・クルーズ主演の「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(14年)や、ビッチ系の女子大生が殺されるたびにその日の朝へと戻り、自分を殺した殺人鬼と対決するコメディー「ハッピー・デス・デイ」(17年)など、タイムループ映画は定番のジャンルになっている。
■過去の失敗を取り戻し、新たな活路を見出したい願望を作品化
タイムループ映画は、なぜループが起こったのかを探っていく謎解きと、同じ時間を過ごすことで登場人物がどう変化し、成長していくかが作品の見どころ。ただ今回公開される2本は、ループする人間がクラスメートや社員など、特定のエリアの集団になっているのが特徴。「カラダ探し」はそれぞれ孤独だった6人が、同じ目的のための友情を育んでいく青春映画の面が強いし、「MONDAYS」ではループすることで社員同士の団結力が強まり、同じ仕事を何度もこなすことで個々のスキルも上がっていく。つまり、過去の失敗をみんなで取り戻そうとすることで、新たな活路を見いだす作品で、そうなってほしいという作り手も含めた、現状に不満や不安を抱く人々の願望が込められているのだ。
現実に過去を再び体験するのは難しいが、人間関係や仕事の在り方を見直す意味でも、タイムループ映画は魅力的なジャンルと言えるのではないか。
(映画ライター・金澤誠)