心がパンパンにならないよう、近い未来を考える…それが、にしおかすみこの処世術
「ボンデージの衣装を着たキャラをこの先もずっと続けていくのは無理だと、すぐに気づきましたね。次第にトーク番組やバラエティー番組に出るようになると、ボロが出てきてしまう」(日経BP「日経Xwoman」23年2月1日)
足りない話術を学ぼうと、春風亭小朝に師事。「春風こえむ」の名で高座に上がるなど模索し続けた。そんな中、コロナ禍が転機になった。仕事を失った彼女は、家賃が払えなくなり、引っ越し先を探す中で一度実家に立ち寄った。すると実家はゴミ屋敷と化し、母親も「死んでやる!」と言っていた。
そうして「母、80歳、認知症。姉、47歳、ダウン症。父、81歳、酔っ払い。ついでに私は元SM女王様キャラの一発屋の女芸人」(講談社・にしおかすみこ著「ポンコツ家族」23年1月20日発売)の暮らしが始まった。
「糖尿病とうつ病と認知症のセット」を自称する母は、自分で感情をコントロールするのが難しくなってきていた(中央公論新社「婦人公論」23年4月号)。「どうにもならない」過酷の状況の中、今も心は「ボキボキに折れたまんま」だという(ワニブックス「NewsCrunch」23年2月8日)。