森山直太朗×内田也哉子 NHK「オチビサン」主題歌制作秘話【特別対談/後編】
「うちは両親が一遍に亡くなって、ほんとの大人になるんだ」と(内田)
森山 也哉子さんとはほぼ同い年で、とても親近感がありますね。僕の周りも老眼の話が出てくるようになりました。
内田 一番変化が大きい年なのかな、男女共にね。折り返し地点だもんね。
森山 うちの父は去年の年末に79歳で亡くなったので、それで言ったらもう半分もない。
内田 そうだったんですか……うちの母は75歳だったから、とっくに折り返していますね。
森山 じゃ急いでいきましょう(笑)。親が亡くなるって、新たな視点というギフトがありますね。
内田 子供からオトナになる、って、渦中では感じなかったけど、うちは両親が一遍に亡くなって、そこで初めて「こうして人って、1人ぼっちになり、ほんとの大人になるんだ」と自覚しました。と同時に、もう二度と会えない寂しさはあるけれど波紋のように届くものがあって、亡くなってはじめて生まれた両親への思いに気がつきました。
森山 僕も父が亡くなったという実感はないんですよね。子供の頃に両親が離婚して、父とは会っていない時間が長かったせいか物理的な喪失感はないんだけれど、離れたほうが近くに感じるというか、この辺にいるな、っていうか、よりフリーに会えるようになっている感覚です。肉体としては“あまりにも早い”“会えなくて寂しい”とか感じるかもしれませんが、僕は体の苦しみや生きるという苦行から解放されて“一段上って新しい世界に行った”と理解しています。病の向こうにある自分の心と向き合い、お見舞いや看護を通してみんなからの愛情を受けて卒業したといいますか。
内田 なるほど。