愛され続けたイ・ソンギュンさんの光と影(1)なぜ自ら死を選択せねばならなかったのか
今年1月28日、フランスの「ジェラルメ国際ファンタスティカ映画祭」で故イ・ソンギュンさん主演の韓国映画「眠り」が大賞に輝いた。韓国映画が同映画祭で大賞に選ばれたのは2004年の「箪笥」(03年)以来で20年ぶりの快挙となる。だが栄誉ある賞を受賞したのに、主演俳優のイ・ソンギュンさんはもうこの世にはいない。彼は違法薬物を使用した疑いで昨年10月から警察の取り調べを受け、12月27日に自ら死を選んだからだ。まだ48歳という若さだった。
亡くなってから3カ月になるが、この間、故人をめぐるさまざまな動きがあった。今年に入ってから「パラサイト 半地下の家族」(19年)のポン・ジュノ監督をはじめとする映画関係者や俳優らが「文化芸術人連帯会議」を結成。警察やメディアに対し、イ・ソンギュンさんの事件の真相究明を要求した。そもそもイ・ソンギュンさんは、なぜ自ら死を選択せねばならなかったのか。
日本では、米アカデミー賞で4冠を達成した映画「パラサイト 半地下の家族」のIT社長役のイメージが強かったが、イ・ソンギュンさんの代表作といえば、ドラマ「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」ではないか。彼の特徴ともいえる低音の美声にあふれ出る優しさ。その魅力が詰まったドラマだった。