フジテレビ「日本シリーズ取材パス没収」をなぜNPBは説明しないのか…元テレ朝弁護士が疑義
04年にはプロ野球新規参入に60億円の加盟料が必要であることについて公正取引委員会が独禁法に触れる恐れを指摘したこともあるなど、事実上プロ野球界を一手にまとめている存在で、公的な性格があるはずだ。
そうした強い立場にあるNPBが、日本シリーズという他に代えられないスポーツイベントを取材できないという不利益を、「ワールドシリーズを放送したから」という取材とは関係ない理由で与える。これが「優越的な地位を濫用した」といえるかどうかは別として、不条理な処分だと思う。しかもこうした処分がもたらすのは「日本シリーズの取材・報道が減る」という結果なのだから、「野球事業の推進」というNPBの目的に逆行するのではないか。
そして何より疑問なのが、この件についてNPBが公式にコメントをしていない点だ。取材パス没収という重大な処分を下すのであれば、その理由ははっきり示されなければならない。もしフジがワールドシリーズを放送することが取材を禁ずるほど重大な背信行為だと考えるなら、NPBは正々堂々と処分を公表し、その大義名分を説明すべきだ。それをせずに水面下で取材パスを取り上げることは公明正大とはいえないだろう。