大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ…もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ
1994年9月24日、私は英国のアスコット競馬場にいた。
武豊が騎乗するスキーパラダイスを見るためだった。同馬は前走でフランスのGⅠムーランドロンシャン賞を勝って人気になっていた。雨が降り続き日本の芝より長いターフのため、直線だけで追い込むことは難しいと思われた。だが、スキーパラダイスは少し出遅れたこともあったが終始後方のまま惨敗した。翌日の英スポーツ紙は1面で武の騎乗を厳しく批判していた。
翻って先週の「宝塚記念」、断然1番人気のドウデュースの武の騎乗を批判するスポーツ紙はなかったのではないか。それで30年前のことを思い出していたのだ。
ドウデュースについて、武はレース前「馬の出来は最高」と言い、レース後は「負けたのは重馬場のせいではない」と言っている。だとしたら、あの乗り方は解せない。60年競馬を見てきた私は、相手が競馬界のレジェンドであってもひるんではならないと考える。
私は、この国にはスポーツジャーナリズムはないと思っている。競馬界、プロ野球界、相撲界を見ても、取材対象にベッタリ張り付き、タメ口を利けるようになるのがいい記者だと勘違いしているからだ。相手との距離の取り方を教えられていないのだ。