放送での「バカ」の使い方、機転の利かし方…小倉智昭さんは“先生”のような存在だった
小倉智昭さんが亡くなられた。以前から闘病生活を明らかにしていたので、ある程度、覚悟はしていたものの、とうとうその時がきたのかと落胆している。直前まで仕事を続けていたので、まだ、なんとか乗り越えてくれるのではないかと期待していたからだ。
小倉さんについて、非常に多数のタレントや関係者から、その思い出などが語られている。多くの人たちに影響を与えてきた小倉さんの人柄がわかると思う。
実は僕も若い頃、30年以上前に2年半ほど司会者とリポーターという立場で一緒に仕事をしたことがある。小倉さんの代表的番組「とくダネ!」の司会をする前、日本テレビ系で初のワイドショー司会番組だった。
スタートしてすぐ、僕は関東圏の山あいに近い住宅街の民家に「毎日のように子連れのイノシシが餌を食べにくる」という生中継のリポートに出かけたことがあった。VTRでその餌を食べるシーンなどを流しながらイノシシ親子を待っていたが、ついぞ姿を見せなかった。
僕がカメラに向かって「残念ですが、時間内にイノシシは来ないか……」と言うと、間髪を入れず小倉さんが「ダメだよ。中継を出しているんだから、何がなんでも連れてこなくちゃ」とむちゃを言い出し、中継の緊張もあって僕が絶句したところでCMになった。