【1.節目】気が付いたら『森本毅郎・スタンバイ』は34年7カ月続けて9000回
昨年11月11日、私が担当しているTBSのラジオ番組「森本毅郎・スタンバイ!」が9000回を迎えた。月曜から金曜まで毎朝6時半から8時半まで「聴く朝刊」をコンセプトにしている朝の情報番組だ。放送が始まったのは1990年4月、それから34年7カ月で9000回を迎えたことになる。
私は1939年9月生まれで、今年は86歳になる。このラジオが始まったときは50歳だから、今思えば若かった。「健康じゃなければ続けられませんね」と人に言われるが、実は経年劣化は激しく、腰の狭窄症で5回も手術しているし、心臓には2本のカテーテルが入っている。去年の暮れには声帯を厚くする注射も打った。年をとると声帯が痩せてきて声がかすれたりする。そこで注射で薬剤を注入して声帯の筋肉を若返らせるのである。ラジオは声が命なのでこうした修復もしなければならない。
「9000回の節目ですからイベントをやりましょう」とTBSラジオに言われたときは、ありがたいことと思いつつ戸惑いもあった。もともと「節目」をつける生き方にはあまり興味がない上、聞けば練馬の文化センター大ホールで1300人も集める有料の公開放送だという。そんなに人が集まるとも思えず、おまけに有料では恥をかくのがオチと反対した。だが、私の心配とは裏腹に抽選するほど人が集まる盛況ぶりになった。北は北海道、南は沖縄からも駆けつけてくれたし、若い人から年配者まで年齢層も予想以上に幅広かった。