【1.節目】気が付いたら『森本毅郎・スタンバイ』は34年7カ月続けて9000回
月曜から金曜まで日々のニュースを追っていると、ニュースには連続性があって、一つのニュースにもいろいろ変化が表れる。その意味をコメンテーターと深く掘り下げていくとニュースの幅と奥行きが見えてきたりする。おそらくラジオのリスナーの方々もそうした部分を読み取り、面白がってくれているのではないかと想像していたが、実際に1300人ものリスナーの姿を目の当たりにし、その熱気に包まれてみると、その実感が素直に伝わってきて感動した。
「この先は1万回ですね」などと言われるが、私は耳を貸さない。放送業界、一寸先は闇である。私の年齢ならいつ自分の人生そのものに終止符が打たれても不思議はない。だからこそ、一日一日の積み重ねが出来ればそれでいいと思う。
実はこの連載も「9000回の節目」に、こうして長く続けられた秘密や秘訣、放送人としての人生を振り返ってほしいと頼まれたものである。いや応なく節目が来たのだと改めて実感した次第。折しも今年は日本で放送開始100年目の節目にあたる。そのうち62年を放送に携わった身として過去を振り返る時期が来たのかという複雑な思いもあるが、思いつくままささやかな個人史をひもといてみたいと思う。