多幸感とは?ピエール瀧逮捕で目にする言葉の“本当の意味”
ピエール瀧容疑者(51)のコカイン使用事件で、よく目にするようになった言葉がある。
「多幸感」――。
薬物とセットになって使われることが多いが、改めて考えてみると、多幸感とは一体何なのか。精神科医の髙木希奈氏に話を聞いた。
「精神科医の立場で言うと、多幸感は病的な状態です。主に薬物使用による症状の一つとして使われますが、躁状態の患者さんにも用いられる場合もあります。声を大にして言いたいのは、多幸感とは決して『すごくいいもの』『一度は味わってみたいもの』なんかではないということ。今回の報道で多幸感に興味を持ってしまう人もいるかもしれませんが、味わわなくても普通に生活していけます」
普通に生きていて「幸せだな」と思う感情。その何十倍もの強い幸福感だろうと考えがちだが、脳にとっては明らかに不自然な状態だ。法を犯し、自分と家族の人生が壊れるリスクを背負ってまで手に入れるものではない。髙木医師はさらに警鐘を鳴らす。
「薬物を使用し続けて多幸感がずっと続くと、使用していない時間をドン底のように感じてしまう。生きていくベースに常に多幸感がある状態になってしまうと、多幸感のない時間がどんどん耐えられなくなっていってしまうんです。薬物使用時と使用していない時のギャップは相当激しいはずです」