道路沿い住人は要注意 騒音が引き起こす意外な健康障害
それによると、幹線道路から300メートル以上離れた場所に住んでいる人に比べて、101~200メートル以内では認知症の発症リスクが2%、50~100メートルは4%、50メートル未満だと7%も高くなったという。
研究ではその理由として幹線道路沿いでは大気汚染が深刻なこと、気分良く体を動かせる公園などがなく身体活動が低下すること、それと並び騒音が影響していると分析している。騒音により睡眠が妨げられ、脳機能に悪影響を与えて認知機能を低下させるという。
騒音は感染症や遺伝性疾患ほどではないにしろ、「難聴」にも関係している。その「難聴」は認知症の引き金のひとつであることがわかっている。2015年に厚労省が発表した「認知症施策推進総合戦略」のなかでも難聴は認知症の発症因子とされている。
むろん、騒音による健康被害は交通騒音によるものだけでない。例えば、低周波音による健康被害もある。
「人間が聞き取れる音は20ヘルツ~2万ヘルツで、20ヘルツ以下の聞こえない音は低周波音と呼ばれています。これを発するのが、空調機器や冷蔵庫のコンプレッサーなどで、それによって引き起こされる健康被害もあるといわれています。特に高齢者には夜の低周波騒音が気になります。最近、低騒音型の家電製品が人気になっているのは、このためでしょう」(前出の元大学教授)
こうした騒音リスクに糖尿病や運動不足などが重なれば、さまざまな病気の発症リスクはさらに高くなる。薬や運動も大切だが、健康を維持したいなら騒音対策にも気を配るべきだ。