論文が世界で注目 胆道がんをほぼ確実に発症させない方法
「胆嚢壁肥厚なら健診の超音波でも明らかに分かります。今までは胆嚢壁が厚くてもそのままでしたが、胆嚢壁肥厚がある人にはMRIを行うようにすれば、合流異常の発見率が高まります」
もちろん、「胆嚢壁が厚い」が「合流異常」や「胆道がん高リスク」とイコールではない。ただ、非拡張型のスクリーニング法としては現段階で唯一の方法だ。データはまだないが、神澤医師の経験では、胆嚢壁肥厚が認められた人にMRIを行うと、合流異常の非拡張型がしばしば見つかるという。
「非拡張型が見つかりさえすれば、予防的に胆嚢切除術を行います。この手術はさほど難しくありません。胆嚢を除去しても、その後の生活に支障はあまり出ません」
健診の結果に「胆嚢壁肥厚」を示す指摘があれば、MRIを受けるべき。胆道がん予防になる。すでに胆道がんを発症していても、早期発見になるかもしれない。
なお、胆道がんには胆嚢がんと胆管がんがある。非拡張型で発症する胆道がんは、約9割が胆嚢がん、1割弱が胆管がんだ。胆嚢除去で発症率をゼロにできるのは胆嚢がんで、胆管がんのリスクは残っている。胆管も除去するかどうかは、1割弱という発症率の低さもあり、専門医の間で意見が分かれている。