遺伝子に注目で成果 手術不可の進行・再発肺がんに新兵器

公開日: 更新日:

 肺がん治療に新たな選択肢がまたひとつ加わった。かつては考えられないほどの成果をもたらしている。

 新たな選択肢とは、先日承認された分子標的薬「クリゾチニブ(商品名ザーコリ)」だ。分子標的薬は、特異的な性質を持つがん細胞を標的にし、効率よく作用する。そこが、がん細胞も正常な細胞も攻撃する従来の抗がん剤と違う点だ。

 今回承認されたのは、肺がんの中でも「ROS1(ロスワン)融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に対してだ。

 ROS1融合遺伝子陽性とはどういう意味か? これまで肺がんは、「小細胞がん」「非小細胞がん」、さらに非小細胞がんは「腺がん」「扁平上皮がん」「大細胞がん」に分類され、治療が考えられてきた。これらは組織型の分類だ。

 ところが最近は、治療戦略の立て方が変わってきた。日本肺癌学会理事長で、近畿大学医学部呼吸器外科部門主任教授の光冨徹哉医師が「肺がんは遺伝子の病気」と指摘するように肺がんの増殖や生存に遺伝子変異が関係していることが研究で明らかになっている。その遺伝子変異を特定し、効果が証明された分子標的薬を用いて治療が行われるようになったのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  2. 2

    大阪・関西万博もう間に合わず? 工事未完を「逆転の発想」で楽しむ方法…識者が皮肉たっぷり提唱

  3. 3

    大阪万博の目玉 344億円の巨大木造リングはほぼフィンランド産…「日本の森林再生のため」の嘘っぱち

  4. 4

    “路チュー”に続き所属タレントの書籍予約トラブル…STARTO社福田淳社長は「自分ファースト」!?

  5. 5

    巨人・田中将大 戻らぬ球威に焦りと不安…他球団スコアラー、評論家は厳しい指摘

  1. 6

    平野紫耀から杉咲花に「翠ジンソーダ」キャラクターわずか1年でバトンタッチのナゾ…平野ファン大混乱

  2. 7

    プーチンだけが丸儲け…米国&ウクライナ会談決裂にニンマリのロシアが描く青写真と警戒心

  3. 8

    注目される日銀の出口政策…次は時価約74兆円のETF(上場投資信託)の出番だ

  4. 9

    大阪万博「歯抜け開幕」ますます現実味…海外パビリオン完成たった6カ国、当日券導入“助け舟”の皮肉

  5. 10

    自公維の「高校無償化」に慶応女子高の保護者が動揺? なぜだ?