投与で進行リスク2割減 乳がん治療薬に新たな「第1選択」
最近、乳がん治療で新たな薬が初回治療から使用可能になった。愛知県がんセンター中央病院・乳腺科部長の岩田広治医師に聞いた。
乳がんの治療法は一般的に、「手術」「放射線療法」「薬物療法」。このうち薬物療法は、「ホルモン療法」「抗がん剤療法」「抗HER2療法」があり、患者の乳がんが3つの要素で分類される「サブタイプ」のどれに該当するかで、どの治療を選ぶかが決まる。サブタイプによって、がん細胞の性質が異なるからだ。
3つの要素とは「ホルモン受容体」「HER2(がん細胞の表面のタンパク質)」「Ki67値(がん細胞の増殖活性)」。サブタイプは、これらの組み合わせで6種類あるが、ホルモン受容体が陽性の乳がんが最も多く、患者全体の80%以上を占める。ホルモン受容体が陽性の場合、「ホルモン療法単剤」あるいは「ホルモン療法+抗がん剤」が検討される。
愛知県がんセンターでは、乳がん患者1771例の再発時期を調査した。ホルモン受容体陽性では199例が再発。5年以内の再発が多いものの、47例(23・6%)は5年目以降に再発した。一方、ホルモン受容体陰性では112例が再発し、そのほとんどが5年以内に集中。5年目以降は7・1%に過ぎなかった。