著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

安藤忠雄さんはがんで臓器を5つ摘出しても1日1万歩生活

公開日: 更新日:

運動がんを抑制する要素

 そんな安藤さんは1日1万歩を目標に、毎日歩いて事務所に通っているといいます。元気の秘密はいくつかあるでしょうが、最大の要因が運動でしょう。

 東京ガスの社員データでは、定期健診を受診した男性9677人を運動量により、①運動不足②やや運動不足③平均的④比較的運動している⑤積極的に運動している――の5グループに分けて追跡。平均15年にわたってがんの死亡率を検討した結果、がん死亡率は「運動不足」が最も高いことが判明。「平均」の2倍以上、「積極的」の4倍近いことが分かったのです。よく運動するほど、がんの死亡リスクが低下することが分かります。

 米国立がん研究所によると、運動をしている人はしていない人に比べて、大腸がんのリスクが平均で40~50%、乳がんのリスクが30~40%低下することも判明。逆に運動不足だと、子宮がんや前立腺がん、肺がんのリスクが上昇することを関連づける疫学調査もありますから、運動はがんを抑制する要素といっていいでしょう。

 がんの成因のひとつとして、活性酸素によって遺伝子が傷つくことが考えられています。しかし、定期的な運動をしている人は、活性酸素から身を守る作用がアップ。さらに、持久的な運動が、がんの発生や増殖を抑える免疫機能を高めるとする報告もあります。

 安藤さんの「1日1万歩生活」は、これらのデータを裏づけるもの。一般には、ウオーキングなど汗がにじむ程度の運動を週2、3回以上、1日30分以上続けると効果的です。皆さんも生活に取り入れてください。

【連載】Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  2. 2

    江藤拓農水相が石破政権の最初の更迭大臣に?「隅々まで読んだ」はずの食糧法めぐり“逆ギレ誤答弁”連発

  3. 3

    「相棒」芹沢刑事役の山中崇史さんが振り返る俳優人生…地下鉄サリン事件「忘れられない」

  4. 4

    吉幾三(5)「お前のせいで俺と新沼謙治の仕事が減った」

  5. 5

    みのもんたさんが自身のスキャンダルで見せた“類まれな対応力”…明石家さんま、石田純一との共通点

  1. 6

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  2. 7

    大阪・関西万博もう間に合わず? 工事未完を「逆転の発想」で楽しむ方法…識者が皮肉たっぷり提唱

  3. 8

    日本代表FW古橋亨梧の新天地は仏1部レンヌに!それでも森保ジャパン復帰が絶望的なワケ

  4. 9

    維新は予算案賛成で万々歳のはずが…ゴタゴタ続きで崩壊へ秒読み 衆院通過の自民はニンマリ?

  5. 10

    松坂桃李「御上先生」第7話2ケタでV字回復へ 詩森ろばの“考えさせる脚本・演出”はTBS日曜劇場からの挑戦状