インフル感染リスクを下げる「マスク」の正しい使い方
「米国で1437人を対象に行われた比較試験でも、マスクを単独で使用しても、マスクを使用しない場合と比べて感染率の低下は見られませんでした。ただ、『マスク着用と手洗い』を併用したグループは30~50%ほど感染率が低下しています。マスクだけでは防げない接触感染のリスクを下げるためには、ウイルスを物理的に洗い流す手洗いをセットで行う必要があるのです」
マスクを着用する際は口と鼻をマスクでしっかり覆い、顔とマスクの間の隙間が最小限になるように装着する。マスクの表面には触らず、掛け外しはひもの部分を持つ。必ず使い捨てにして、使用済みのマスクはすぐに廃棄。そして、外出先から自宅や職場に戻った際、食事前は手を洗う。なるべくなら、不特定多数が触るものに触れた後も手洗いするのが望ましい。
さらに、顔を触らないことも大切だ。米国で行われた調査では10人の対象者を観察したところ、最も多かった人は3時間で目を12回、唇を72回、鼻を20回も触っていた。平均でも目を7・4回、鼻を16回、唇を24回触っていたという。
「マスクを着用していても、人は無意識に顔のあちこちを触っているものです。顔に触る回数が多ければ、それだけ感染リスクもアップします。私も患者さんと接する機会が多いこともあり、意識して顔を触らないように心がけています」
国立感染症研究所のホームページでも警告されているように、マスクは正しく着用し、しっかり手を洗い、顔を不必要に触らないようにする。中途半端に使って安心してはいけない。