遺伝子検査は心臓疾患の予防にも大いに役立つ
血液、口の中の粘膜、唾液などから染色体の遺伝子を調べ、病気のリスクや体質を判定する「遺伝子検査」が急速に進歩しています。
遺伝子は、生物すべての生命活動を支えるタンパク質の“設計図”なので、遺伝子の異常を見つけ出せば、その人がどのような病気にかかりやすいのか、どのような薬が効くのかといった傾向がわかります。あらかじめそうした遺伝的傾向を把握しておけば、それに応じた対策を講じることもできます。病気の発現を早い段階でキャッチできれば、規模が小さく体への負担が少ない治療で済む可能性があるのです。
当院でも、本格的な遺伝子検査外来に力を入れています。4月からゲノム(遺伝情報)の専門家を新たに招いて担当してもらい、遺伝子検査が一般的にも広まってきたがんと、マルファン症候群などの優性遺伝病(両親から1つずつ伝わる遺伝子対のうち、どちらか一方の遺伝子に異常があれば発症する病気)の中で発病により寿命を縮める可能性がある疾患を対象に進めています。
最近はそうした遺伝子検査の対象が心臓疾患にも広がりつつあります。それまでがんの遺伝子検査を展開していた米国のある企業が、「心臓の構造や機能に関係する遺伝子を調べ、遺伝性の不整脈、心筋症、動脈硬化などのリスクを明らかにする」と発表しました。リスクを早期に認識することで、心臓発作などの命に関わる突然の発症を予防するのに役立つとしています。