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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

X線を一から教えてくれた先輩をがんで亡くして考えたこと

公開日: 更新日:

 2人の尊敬する先輩は、患者のため、そして医学の進歩に大変貢献されました。しかし、ご自身ががんを患うことになる20年以上前に、いわば無謀な放射線被ばくをしていたと思うのです。

■被ばく線量が一定以上超えるとリスク上昇

 放射線が原因でがんが発生する場合は、放射線によって障害された遺伝子を持ったまま細胞が分裂を繰り返し、がん細胞になると考えられています。たくさんの放射線を被ばくした場合、がんになる確率が増すことは広島や長崎の被ばく者の調査、動物実験などから明らかです。すべてががんになるというわけではありませんが、被ばく線量が100ミリシーベルト(短時間1回)を超えると、がんになるリスクがアップするのです。

 放射線が原因となる白血病は線量に比例して増加することが分かっています。福島原発の事故でも被ばくした作業員が白血病となり労災が認定されています。同様の固形がんは、被ばく後10年以上経ってから増えるといわれます。そのリスクは線量だけでなく、被ばく時の年齢にも関係するようです。被ばくした時期が甲状腺がんでは若いほど、乳がんは思春期で高く、結腸がんは年齢に関係しないようです。

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