セルフメディケーションが機能するには定期健診が欠かせず
近年、推奨されているセルフメディケーションですが、あくまで「セルフ」です。一般の方にしてみれば、ただ「薬を上手に選んで使ってください」と言われても、実践するのはなかなか難しいでしょう。
そこで押さえておきたいのが、スイッチOTCをうまく選んで使うコツです。それは、「かかりつけ薬剤師をつくってよく相談すること」と、「OTC服用後に症状が変化しない、または悪化した際には速やかに受診する前提で飲み始めること」の2点だと言えます。これを意識して活用する人が増えれば、セルフメディケーションがより浸透するのではないでしょうか。
国民皆保険制度の日本では、セルフメディケーションがなかなか進んでいないのが現状です。OTCの市場はここ20年以上やや縮小しています。内服のスイッチOTCの種類が増え始めた1997年ごろ、当時発売された胃薬のファモチジン(ガスター)などは「胃痛を抑えることで胃がんの早期発見を遅らせるのではないか」という懸念もありました。そうした不安を抱えた状況下で市場が伸び悩むのは理解できます。
しかし、1997年にファモチジン(ガスター)、シメチジン(タガメット)、ラニチジン(ザンタック)がスイッチOTCとなって以降、急激に胃がんの発生率が高まったということは報告されていません。「薬で症状をマスクしてしまうことは重篤な病気の発見を遅らせる」という危惧はあくまで取り越し苦労であったということかもしれません。そうした懸念が払拭されてきていることもあり、そろそろOTCとセルフメディケーションがもっと普及していってもいいように感じます。