著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

インフルエンザの発熱に使ってはいけない解熱鎮痛剤とは

公開日: 更新日:

 OTC医薬品の中で解熱鎮痛剤を購入するときの注意点として、「名前が同じであっても、成分が違うものがある」ということを[ロキソニン]を例に挙げて前回お話ししました。

 今回は、解熱鎮痛剤を使用する際の注意点についてお話しします。解熱鎮痛剤の多くは「NSAIDs」(非ステロイド性抗炎症薬)に分類される薬で、抗炎症作用、解熱作用、鎮痛作用があることから、頭痛風邪のときの熱さましとして用いられています。効き目が強く、即効性があるため、多用されている市販薬といえます。

 風邪などで高熱が出ることで熱性痙攣のリスクもありますから、解熱するのは悪いことではありません。しかし、発熱の原因がインフルエンザや水疱瘡などのようにウイルスであった場合、逆にNSAIDsを用いて熱を下げると思わぬ事態を招くケースがあります。「インフルエンザ脳炎・脳症」や「ライ症候群」(インフルエンザや水疱瘡などによって起こる急性脳症や肝臓への脂肪沈着といった症状)が起こる場合があるのです。

「インフルエンザ脳炎・脳症患者中のジクロフェナク(ボルタレンなど)を使用した患者は、解熱剤を使用しない患者と比較して死亡の危険が14倍高かった」という調査結果も報告されています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…