著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

膵臓がんを早期に発見「尾道方式」と研究が進む最新検査

公開日: 更新日:

 そのリスクとは、「糖尿病」「肥満」「喫煙」「家族に膵臓がん患者がいる」の4つ。中でも「糖尿病」は、そうでない人に比べて2倍、膵臓がんになりやすい。糖尿病の人は、1年に1回エコー検査を受けることで自ら尾道方式を取り入れるといいでしょう。ほかのリスクを重ねていたらなおさらです。

 転移すると、ジェムザールという抗がん剤が治療の中心になります。これは比較的、副作用が少なく、「抗がん剤=副作用がつらい」というイメージを持つことはないでしょう。八千草さんがジェムザールを使ったかどうか分かりませんが、無理なく完遂できるケースは十分考えられます。まずは悲観的に考えず、一度トライしてみること。副作用を心配するのは、それからでいいと思います。

 国立がん研究センターは、尾道方式とは別の早期発見の仕組みを研究。血液検査で判別可能な膵臓がんのバイオマーカーで、今年3月に対象期間が終了。目下、分析しているところです。先駆けて行われた米国では、既存のバイオマーカーよりも高い精度で早期に膵臓がんを検出できることから、検査キットが開発されています。膵臓がんが難治がんでなくなる日は、近いかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」