プロが集結し慢性痛に対応 慶大病院「痛み診療センター」
同センターには1日50~60人が受診していて、その患者の大半は60代以上。慢性痛の原疾患では脊柱管狭窄症やヘルニア、圧迫骨折、腰椎すべり症などの脊椎疾患が7~8割。残りは頚肩腕痛、帯状疱疹痛、口腔顔面痛、原因不明の慢性痛などだ。
痛みそのものを緩和する治療では、「神経ブロック(注射)」、脊椎の神経が通っている空間に特殊なカテーテル(細い管)を入れて癒着をはがす「ラクツカテーテル法」、脊髄を電気的に刺激して痛みを和らげる「脊髄刺激法」などが、麻酔科と整形外科の医師によって行われている。
■従来の治療に「運動」と「心理療法」をプラス
そして、同センターの治療で特徴的なのは、必要な患者に処方されている「運動療法プログラム」と「マインドフルネス(心理療法)」だ。運動療法はリハビリ専門医と理学療法士が担当し、トレーニングマシンなどを使った週2回(1回40分)、2カ月間のプログラムが組まれている。
「慢性痛の患者さんでは、痛みによって日常生活の正しい動作が困難であるために、痛みをカバーするような動作(代償動作)が習慣化して、かえって痛みを増加させてしまっている人が多くみられます。その筋肉が硬くなったり、バランスが崩れていたりしている状態によって起きている痛みの悪循環を、運動療法によって筋肉の緊張をほぐすことで断ち切るのです」