プロが集結し慢性痛に対応 慶大病院「痛み診療センター」
日本人の6人に1人が悩まされているとされる「慢性痛」。しかし、長引く体の痛みの原因は、何かひとつの病気や障害に限られるわけでもない。そのため特定の診療科に通っていても、なかなか良くならない、痛み止めを飲んでも効かない、と諦めている人は多い。
そんな慢性痛に対して、多角的な視点(集学的治療)で痛みの緩和を行っている診療部門がある。昨年6月に慶応大学病院に開設された「痛み診療センター」だ。診療に当たるのは、麻酔科、リハビリ科、整形外科、精神科を中心とした複数の診療科の医師。どのような理由から開設されたのか。小杉志都子センター長が言う。
「痛みは同じ疾患が原因でも、さまざまな要因が重なって慢性化していて、それも患者さん一人一人で違います。例えば腰痛で、ブロック注射をしただけでは不十分で、本当は体を動かしてもらった方がいい場合があります。それには、どんな運動をどの程度すればいいのか、それも患者さんによって異なり、疼痛専門の理学療法士が指導した方がいい。このように痛みの要因に合わせた治療を行うには、複数の診療科の専門知識を集約した体制が必要だったのです」