難治性の造血器腫瘍を克服した患者さんが訪ねてきてくれた
先日、「造血器腫瘍」(白血病や悪性リンパ腫など)の中でも最も難治と考えられるタイプのがんと闘い、悩み、苦しみ、大変な苦労を重ね、骨髄移植を受けた後にようやく蘇って元気になったAさん(40歳・主婦)が外来に来られました。私は今は移植チームから離れているので、ずっと外から応援していました。
骨髄移植では「前処置」というものを行います。体の中のがん細胞を減らし、新たに入ってくるドナーの骨髄細胞が生着しやすいように自身の免疫細胞を抑制することが目的です。そのために大量の抗がん剤と全身の放射線治療が行われますが強い副作用があります。
自身の骨髄は空になって血を造れなくなるので、一時的に白血球数がゼロになり、感染(敗血症)が起こりやすい状態になります。また、強度の貧血や血小板の減少が進むため、適宜、赤血球と血小板輸血が行われます。口内炎、脱毛、食思不振、嘔気・嘔吐、下痢などが高頻度に表れ、肝臓、腎臓、肺、心臓といった重要な臓器に合併症が起こると、命に関わることもあります。
患者さんがこうした状態に耐え、ドナーの骨髄が生着すると回復してくるのです。