丸山ワクチンは70年以上も「治験」という形で使われている
先日、ある病院でこんな場面に遭遇しました。入院される患者さんが「丸山ワクチン」を持参し、担当医に「入院中に注射をお願いします」と話しているのを聞いたのです。
「え! 今でも使っているの?」と正直、私は驚きました。患者さんは、日本医科大から直接ワクチンを購入し、値段は40日分で1万円近くするようでした。がんに対して保険適用はなく、何十年も続く「治験」として患者さんは購入しているのです。
私が勤めていた病院では、1975年ごろからの数年間、終末期に近いがん患者さん数十人から使用を依頼され、丸山ワクチンを使ったことがあります。体全体の免疫力を上げるがん治療(非特異的免疫賦活剤)として、抗がん剤と一緒に投与しました。
しかし、一例もその効果を認めたことはありませんでした。そのため、もし患者さんから依頼されても、「私たちのところでは丸山ワクチンは投与しません」と使わないことにしました。
当時の抗がん剤治療では、胃がんに対して20~30%の効果を認めたのですが、そこに丸山ワクチンを加えても、さらなる上乗せ効果は見られなかったのです。