前立腺がんは医師の言いなりで手術を受けたら後悔する
「日本人には、前立腺がんに対する誤った思い込みが2つあります。1つは『治療を急がなくてはならない』、もう1つは『手術がベスト』。2つの誤った思い込みのために、再発リスクが上昇した人、QOL(生活の質)が著しく下がった人が後を絶ちません」(藤野氏=以下同)
前立腺がんは、なぜ治療を急がなくていいのか? それは、前立腺がんの進行スピードが非常にゆっくりだからだ。再発がんであっても、骨転移まで平均5年、死に至るまで8年、合計13年かかるといわれている。
では、手術がベストでない理由は?
「がんの手術では、がん自体にはメスを入れず、余白を残して周りの正常な組織と一緒に切除するのがゴールドスタンダードです。しかし前立腺は恥骨の奥の狭い空間に位置し、周囲には直腸、膀胱、外尿道括約筋など重要な器官がある。これらとともに前立腺がんを摘出することはできません。どんなに慎重に手術をしても、がんの取り残しのリスクがあり、がんが前立腺の被膜外ににじみ出て(被膜外浸潤)いれば、腹腔鏡でも浸潤の完全切除は不可能です」