アルゴンガスでがん細胞を破壊 前立腺がんの凍結療法とは
前立腺がんの治療法には、「全摘手術」「放射線療法(外照射療法、小線源療法)」「ホルモン療法」「経過観察(監視療法)」などいくつもある。
何を選択するかは「年齢」「進行度」など患者の状態による。
東京慈恵会医科大学付属病院泌尿器科では、さらに「凍結療法」という新しい治療法の臨床研究を進めており、先進医療を目指している。どのような治療法なのか。
同科診療副部長の三木健太講師が言う。
「通常、前立腺がんの根治的な初期治療は、全摘手術か放射線療法です。治療成績は同等です。ただ、放射線療法は前立腺が残ります。そのため、放射線照射が不十分であれば再発の可能性があります。凍結療法は、根治的放射線療法後の局所再発(がんが前立腺内にとどまる)に対する治療の選択肢のひとつとして行っています」
凍結療法はその名のとおり、がんを凍らせて死滅させる療法。全身麻酔下で行う。直腸に入れた超音波機器(経直腸エコー)の画像を見ながら、会陰部から前立腺がんに向けて3~4本の針を刺す。針先から出るアルゴンガスによって病巣部を10~15分凍結させ、温度センサーの針でマイナス30~40度になるように氷の塊を作る。その後、針にヘリウムガスを注入して急速解凍する。この凍結・解凍を2~3回繰り返すことで、がん細胞が破壊されるという。