著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

梅宮辰夫さんは6度 がん抑制遺伝子の変異があると多発する

公開日: 更新日:

 がんが多発するのは、決してうれしいことではありませんが、そういう方は定期検査をきちんと受けているので、比較的早期に見つかる傾向があります。梅宮さんも、30代で見つかった睾丸がんや、その肺転移、8年ほど前に見つかった胃がんは早期発見だったようです。

 しかし、訃報に触れ、晩年の映像を見ると、とても精悍だった昭和のスターがとてもやつれていたのが印象に残っています。

 がん細胞は、正常な細胞よりエネルギーを生み出す効率が悪い。大量のブドウ糖を消費するため、健康な人より最大2割近くもエネルギー消費が多いとされます。

 それに加えて、炎症を引き起こす物質(サイトカイン)を分泌。末期がんの方が熱っぽくなるのはそのためで、エネルギー消費がさらにアップするのです。それでも、がん細胞はエネルギーを取り込もうと、筋肉のタンパク質をアミノ酸やブドウ糖に分解。筋肉の減少も、患者が痩せる要因なのです。

 炎症性サイトカインが脳に作用すると、食欲がなくなります。がん患者の食が細くなるのは、抗がん剤の吐き気などの影響だけではありません。そうして低栄養と炎症で体重と筋肉が減少した状態が、がんの悪液質。がんが進行しても、口からしっかりとタンパク質に富む食事を摂取して、適度に体を動かすことは、悪液質への悪い流れを断ち切るには、とても大切です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  2. 2

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  3. 3

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  4. 4

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  5. 5

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  1. 6

    大炎上中の維新「国保逃れ」を猪瀬直樹議員まさかの“絶賛” 政界関係者が激怒!

  2. 7

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  3. 8

    維新の「終わりの始まり」…自民批判できず党勢拡大も困難で薄れる存在意義 吉村&藤田の二頭政治いつまで?

  4. 9

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  5. 10

    SKY-HI「未成年アイドルを深夜に呼び出し」報道の波紋 “芸能界を健全に”の崇高理念が完全ブーメラン