石原藤樹
著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

体の免疫を調整 BCGワクチンを打つと肺がんが6割減る?

公開日: 更新日:

「BCG」というワクチンがあります。剣山のようなたくさんの針を、皮膚に同時に刺して行うやり方で、「はんこ注射」といわれることもあります。

 これは牛の結核菌からつくられた生ワクチンで、主に小児期の結核予防のために行われています。今では1歳前のお子さんに対して、定期接種となっていますが、以前はツベルクリン反応という結核の検査をして、免疫がないお子さんに限って使用されていました。

 さて、この結核ワクチンであるBCGには、もうひとつ「体の免疫を調整してがんを予防する」ような働きがあることが知られています。実際に膀胱がんの治療には、このBCGワクチンが使用されているのです。

 それでは、BCGワクチンを打つことで、どのくらいがん予防に効果があるのでしょうか? 今年の米国医師会雑誌の姉妹誌に、興味深い結果が報告されています。小児期にBCGワクチンを接種したアメリカの先住民などを、その後60年にわたり調査したところ、大人になってからのがんの発症は、BCGワクチンを打った人で少ない傾向があり、特に肺がんについては、その発症が6割も低下していました。以前の調査では、悪性リンパ腫という血液のがんが、BCG接種者で増えるという、気になる報告もあったのですが、今回の調査では否定されています。

 皮膚に痕がつくことから、あまり評判の良くないBCGワクチンですが、実はがん予防の効果があるかも知れないのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 2
    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

  3. 3
    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

  4. 4
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  1. 6
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  2. 7
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  3. 8
    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

  4. 9
    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

  5. 10
    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題