糖尿病の新常識 「血糖」「血圧」「脂質」のチェックが重要
2020年連載1回目の今回は、これまでの“常識”とは大きく変わった糖尿病の知識を改めて紹介したいと思っています。
まずは、なんといっても、「糖尿病は治る病気だ」ということです。これまでは、「糖尿病は一度発症すると一生付き合っていかなければならない。つまり治らない」が常識でした。本来持っている「高くなった血糖を正常に戻す」という機能が十分に働かなくなるからです。
患者さんの中には、最初は生活習慣の改善に取り組むものの、「どうせ治らないんだろう」という気持ちから、治療をドロップアウトしてしまう人も少なくありませんでした。そしてしばらくすると、また疲労感や口渇感など糖尿病の症状が表れ、病院にやって来る。「ドロップアウト↓再来院」を繰り返し、徐々に悪化が進み、最終的には人工透析や壊疽による足切断に至る人もいたのです。
しかし糖尿病の新常識は、冒頭で申し上げたように、「糖尿病は治る病気だ」ということです。早期に糖尿病を発見し、対策を講じれば、インスリン産生にかかわるβ細胞が正しく働いて、必要量のインスリンを分泌できるようになり、インスリンを使い続けなくても済むようになるのです。特に重要なのは食事療法や運動療法で、集中的に体重コントロールに取り組むこと。その結果、内臓脂肪が減少し、血糖値が正常値にまで下がり、これまで「元通りになることはない」とされてきた膵臓の働きが正常化することは研究で証明されています。