糖尿病は治らない…はかつての話 ポイントは早期治療にあり
これまでこの連載では、どういう生活が糖尿病のリスクを高めるか、糖尿病が将来的にどれほど大きな問題になるかを紹介してきました。患者さんによく話していることも、同様の内容です。今回は、糖尿病における「希望」について取り上げたいと思います。
糖尿病の基本概念として「治らない病気」というものがあります。たとえば日本人の死因第1位のがんは、早期発見であれば、完治も可能です。ところが糖尿病の場合、一度発症してしまうと、その後は厳格な食事制限が必要で、いったん投薬が始まれば一生飲み続けなければならないというのが“常識”でした。
ところが近年、それを否定する研究結果が発表されているのです。つまり、糖尿病も「治る」可能性があるのです。2017年9月にポルトガル・リスボンで開催された欧州糖尿病学会では、「糖尿病患者が減量で適正体重に戻すことで、投薬なしで正常の血糖値を維持できる(寛解)可能性が高い」との発表がなされています。
また、英国のニューキャッスル大学とグラスゴー大学の研究グループによって行われている「DiRECT」(糖尿病を寛解するための臨床試験)には、2型糖尿病患者298人が参加しています。これらの患者は低カロリー食を実施し、ウオーキングなどの運動を毎日行うとともに、専門スタッフからストレス対処法や睡眠法についてのアドバイスを受けています。