新型コロナから回復した人の3割以上に呼吸器の後遺症
新型コロナウイルス肺炎はインフルエンザ感染より重症化しやすく、武漢やニューヨークでの致死率は20%以上である。
肺は肺胞細胞という呼吸袋が無数に集まり、これに血管やリンパ管、それらを支える間質組織が入り込んで成り立っている。ウイルスがACE2受容体を介して気管支や肺の細胞に感染すると、免疫反応で防御しようとする。しかし、過剰な反応が起こりやすく、サイトカインスト―ム(免疫暴走)が生じる。そして肺胞細胞と間質の両者を破壊する強烈な肺炎が生じ、肺全体が圧縮されて気管支も圧迫されるので、痰を出せなくなる。そして肺機能は消失する。重症になると人工呼吸器でも呼吸の維持は難しく、「エクモ」と呼ばれる補助循環装置でしか助からない。
肺炎の診断には胸部X線写真よりCTが有効である。もちろん、感染して呼吸器症状が出てもCT画像に出ないことがあるし、逆に症状が無くてもCTで肺炎がみとめられることもある。しかし、高度発熱の数日持続や胸部X線写真での肺炎診断時にはかなり病変が進行している可能性がある。
■肺障害が進行したときには手遅れとなることも