著者のコラム一覧
東丸貴信東邦大学名誉教授、平成横浜病院健診センター長

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

新型コロナから回復した人の3割以上に呼吸器の後遺症

公開日: 更新日:

■完全に治らない人も多い

 一方回復は、肺胞細胞や毛細微小血管が再生ができるかどうかにより決まるが、これにはウイルスの量や炎症の程度が影響する。血管の再生は数日以内に始まり、肺細胞はかなり遅くに始まる。肺組織の再生にかかる時間は、実験データーから推測すると、一カ月以上とみておいた方が良いと思う。

 インフルエンザなどのウイルス性肺炎や細菌性肺炎では、CT検査画像をでもほぼ完全に治っている人もいるが、このウイルスでは肺線維化が起こるので、完全に治らない人も多い。この肺炎では、12週間後に再度CT検査をする必要がある。中国のある研究では、患者70人のうち66人に、退院後もある程度の肺の損傷がみられるとしていた。

 さらに炎症により血液が固まりやすくなり、肺動脈内にできる血栓が肺末梢血流を減らし、慢性肺血栓塞栓症のような状態になることもあり得る。この肺組織そのものと肺血流の両方が傷つくことで、非常に深刻な後遺症生じ得る。

 若い人でも呼吸機能は低下し運動能力が落ちるので、欧米では運動選手の選手生命が失われることが懸念されている。新型コロナから回復した人の3割以上に何らかの呼吸器症状が残ると報告されている。また、中高年では、肺機能低下のみでなく右心不全、肺高血圧症が残ることも多い。

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