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尾上泰彦「プライベートケアクリニック東京」院長

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

【細菌性腟症】腟内善玉菌が減ると発症し灰白色のオリモノが

公開日: 更新日:

 しかし、何らかの原因で乳酸桿菌が減ってしまったら、どうなるでしょうか。増殖が抑えられていた他の常在菌の好気性菌(酸素があると増殖できる菌)や、嫌気性菌(酸素があると増殖できない菌)などが過剰に増殖してしまいます。このように細菌叢のバランスが崩れ、複数菌感染によってオリモノが増加する病気を「細菌性腟症」と呼びます。

 オリモノが増加する病気には、カビ(真菌)の増殖による「性器カンジタ症」や原虫が感染する「腟トリコモナス症」がありますが、細菌性腟症は特定の微生物が検出されません。

 細菌性腟症の半数の人は無症状とされますが、特徴的な症状はオリモノが灰白色で水っぽく、アミン臭(魚臭、生臭い)がすることです。腟に炎症は見られません。それと検査で腟分泌物のpHを測ると5.0以上を示します。症状は比較的軽いのですが、異常に増殖した細菌が上行すると子宮頚管炎や卵管炎などを引き起こすので注意が必要です。

 細菌性腟症は性感染症ではありませんが、性交渉のパートナーが複数いるとなりやすいとされています。また、体力・免疫力の低下、過度な腟洗浄、抗生物質の使用、IUD(子宮内避妊器具)の使用なども罹患(りかん)リスクが高まります。治療は、特定の抗生物質の腟錠や内服で治りますが、再発も少なくありません。

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