起業家の岡本麻里さん 精神病棟への入院経験で学んだ考え方
「生きているのは、過去でも未来でもない。今だけだ」と思ったのは、入院中に北朝鮮がミサイルを撃ったというニュースを見た時でした。
「もし病院にミサイルが落ちたら、息子に会えなくてつらいというこの感情さえもなくなってしまう」と思い、「過去にとらわれたり未来に不安を抱いている場合じゃない。今をただ生きればいい」という気持ちになりました。
必要なのは今を生きること。自分の体調と心に素直になり「頑張ってるね。無理しなくていいよ」と、今を生きれば、過去も報われるし、未来も救われる――そう、すっきり霧が晴れました。
入院の途中からは、「ここは熱海の旅館で、自分は執筆のために缶詰めになれる!」と思うことにしました。東京では、日々何かに追われる生活でしたから、この有り余る自由な時間を有意義に使おうと、アニメの台本を書くことを思いついて、うまく気持ちを置き換えられたのが幸いでした。
入院生活中は、いろんな患者さんがいて、いろんな場面に遭遇しました。急に怒り出す人、夜中にドアを叩いて悩みを言う人、見えない人としゃべる人、病室でオシッコしちゃうおじいちゃん……。それを看護師さんに報告するのが私の役目みたいになっていました。