自由診療歯科医が教える歯のケア(2)磨きすぎは歯をダメにする
健康で長生きしたいのなら、理にかなった生活習慣を身につける必要がある。ならば体が変化した今と若い頃とでは生活習慣や治療法を見直すことは当然だ。自由診療歯科医で「八重洲歯科クリニック」の木村陽介院長に「歯磨き」時の歯ブラシ選びについて聞いた。
「磨く」という以上、力を込めてゴシゴシ洗い、勢いよく水ですすぐのは当たり前だ。そう考えている人もいるだろう。しかし、そのやり方は間違いで60歳を越えたらより注意すべきだ。
「力を込めて歯磨きをすることで歯がダメになるからです。年を取ると歯肉がやせて歯茎が下がり、歯を支える力が弱くなります。若い頃と同じように力を込めた歯磨きをすると、この状態に拍車をかけることになります。歯肉が傷つくと歯肉が退縮して歯茎が下がってしまうのです」
一度下がってしまった歯茎は元には戻らない。また、磨き過ぎでエナメル質が傷つくと、その下にある象牙質が露出して知覚過敏や虫歯になりやすくなる。
「とくに露出した歯の根っこはエナメル質と比べて虫歯になる確率は3倍になるといわれていますので注意が必要です。歯と歯茎の境目にできてくるくぼんだ欠損のことを『くさび状欠損』と言います。『歯頚部』とも言い、エナメル質と呼ばれる歯の硬い層から象牙質と呼ばれる軟らかい層に移行する部分にあたります。かみ合わせの悪さや過度な強い咬合力だけでなく過度な歯磨きを続けることでできるといわれています」