業界初の国家資格「眼鏡作製技能士」は眼鏡作りをどう変える? 6千人余りの有資格者誕生
「眼鏡は医療補助具であり、日本では2人に1人が眼鏡をかけていながら、ごく少数とはいえ、眼鏡が原因で体調を壊すなどトラブルが報告されているからです。消費者庁が独自に精査した『事故情報データバンク』(2012年~22年8月)によると、登録された眼鏡店で作製した眼鏡により体調を壊したと訴えがあった件数は238件。そのうち10歳以下は12件でした。このうち『レンズの度数が合っていない』は126件、『フレームの調整不足』は51件。不調の主な症状は『頭痛』が82件と最も多く、『吐き気・めまい・気分不良など』が78件、『疲れ目、目の痛みなどの目の不調』が70件、ほかに『視力低下』が9件もあったのです」
つまりは一部の眼鏡作りにおいて知識、情報、技術不足があったということだ。
最近は老眼対策用眼鏡に視線を動かすだけで見え方が変わる累進レンズが普及し、フレームの正確な調整なくして精巧な累進レンズの機能が発揮できなくなっている。そのことも眼鏡作製技能士を後押しする原因になっているという。
「世界的に近視になる人が爆発的に増え、将来、中途失明者が増大するとの見方があり、正しい眼鏡作りはますます重要になっています。眼鏡作製技能士制度誕生にあたり、眼鏡業界は新たに日本メガネ協会を設立。全国の眼科医と連携して、国民の目の健康の向上に尽力する体制を整えていて、厚労省もこれをバックアップしています。今後は眼鏡作りは眼鏡作製技能士が中心になることが期待されています」
人間は情報の8割を目から得るという。今後、眼鏡を作る際はまず眼鏡作製技能士に相談してから、ということになりそうだ。