著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

眠気や味覚に影響するクスリは“食べる”をジャマする

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「錐体外路症状を起こすクスリ」(抗精神病薬、消化管運動促進薬など)は、準備期と口腔期に影響します。錐体外路症状とは神経症状のひとつで、運動障害が起こります。具体的には、筋肉が硬直して体が動かしにくくなったり、体の一部が震えたりする症状で、いずれも自分の意識とは関係なく出現します。

 錐体外路症状が出てしまうと、咀嚼がうまくできなくなり、結果として口の中で食塊を作りにくくなります。また、仮に食塊を作れたとしても、舌がうまく使えないためそれを喉に送り込めなくなってしまうのです。なお、錐体外路症状は一度出現するとクスリを中止しても回復までかなり長い時間を要するので、起こさないようにすることがとても重要です。

「嚥下(えんげ)反射を直接低下させるクスリ」(一部の睡眠薬など)は、咽頭期に影響を及ぼします。前回、咽頭期の“ごっくん”は極めて短時間で起こるとお話ししましたが、実はさまざまな機能が連携したかなり複雑な動きを行っています。

 こういったクスリは、咽頭期の連携を鈍らせてしまうので、うまくのみ込めなくなってしまうのです。

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