「顎関節症」は放置してはいけない 元に戻らなくなる可能性も
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、いまやリモートワークがすっかり当たり前になった。これから収束を迎えたとしても、現状の勤務パターンが続いたり、コロナ前よりリモートワークが増える人は多いだろう。そうした環境では、「顎関節症」のリスクが上がるといわれている。小林歯科医院院長の小林友貴氏に聞いた。
顎関節症とは、顎の関節や顎を動かす筋肉に異常が起こり、「顎が痛む」「口を大きく開けられない」「口を開けると顎が鳴る」といった症状が表れる疾患だ。この3つの症状のうち1つ以上に該当し、他に疾患がない場合に顎関節症と診断される。
「原因はさまざまで、歯ぎしりや食いしばりといった生活習慣、無意識に上下の歯を噛み合わせているTCH(歯列接触癖)と呼ばれる癖、それらの原因となるストレス、片側に偏った咀嚼、猫背のような前傾姿勢など多岐にわたります。そのため一概にそうとは言えませんが、リモートワークが浸透したことで、体をあまり動かさない環境下でパソコンやスマホの画面に集中する時間が増え、無意識のうちに歯を食いしばったり、長時間にわたる前傾姿勢や顎の筋肉が緊張している状態が続き、顎関節症につながるリスクがアップしていると考えられます」