イヤホン難聴でインスリン注射に、耳の治療で血糖値が急上昇…糖尿病とその予備軍は要注意
Aさんもステロイドの投薬治療を行った。しばらくして難聴は改善したが、今度は血糖値が高くなった。Aさんはもともと軽い2型糖尿病で飲み薬を使っていたが、それだけでは血糖値の上昇を抑えられなくなった。結果、インスリン注射の導入となり、いまも治療を継続中だ。
■ステロイドが血糖制御を乱す
「Aさんの血糖の急上昇の理由は、難聴治療のためのステロイドにあると考えられます。ステロイドは、難聴以外にも喘息や関節リウマチ、腎臓病、肺炎、アレルギーなどさまざまな病気の治療で使われますが、ステロイドによる治療が糖尿病を引き起こすことがあり、これを『ステロイド糖尿病』と言います。Aさんのように糖尿病の人がステロイド治療で病状を悪化させた場合はステロイド糖尿病とはいいませんが、血糖コントロールを乱すのは同じです」
ステロイドは肝臓からの糖の放出を進めてしまうほか、血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌を抑える働きがある。さらにステロイドは食欲を促進するため、血糖を上げるリスクが高まる。