著者のコラム一覧
田中里佳順天堂医院足の疾患センター長

2002年東海大学医学部卒業、04年同大学形成外科入局、06年米国ニューヨーク大学形成外科学教室留学、12年順天堂大学医学部形成外科学講座准教授、医局長を経て現職を務める。

高齢になると足がむくみやすくなるのはなぜでしょうか?

公開日: 更新日:

 両足がむくんで歩きにくい──。新型コロナウイルスが感染拡大した2020年以降、圧倒的に患者数が増えたのが「廃用性浮腫」です。

 ふくらはぎにつながるアキレス腱には、腓腹筋とヒラメ筋といった下腿三頭筋と呼ばれる硬い筋肉が付いていて、歩行する際の踏み返し動作をスムーズにする役割を担っています。コロナ禍のステイホームなどで極端に一日の歩数が減ると、ふくらはぎの筋肉をあまり使わないためポンプの役割を果たせなくなり、心臓から足へ届いた血液が再び心臓へ巡れずに足の静脈の中にたまって足がむくんでいきます。

 とりわけ高齢になると足の筋力が低下し足のアーチ崩れ、扁平足になりやすい。すると、踏み返し動作をしないべた足歩きになって下腿三頭筋が使われなくなり、むくみやすくなるのです。足のむくみといえば心不全や腎不全、深部静脈血栓症などが原因と考えられがちですが高齢者の場合、明らかな原因がなくても症状が現れやすいのです。

 60代の男性患者さんは、足の捻挫による痛みで来院しました。痛みをかばおうと歩かなくなり、日中はほとんど座って過ごされているといいます。診察で足の状態を診ると、むくんで指でふくらはぎを押してもなかなか戻りません。むくみを起こす重大な病気が隠れていないか鑑別するために血液検査や下肢静脈エコー、CTを行い器質的疾患がないため、廃用性浮腫と診断されました。廃用性浮腫でそのまま歩かなくなるとフレイルの状態になり、健康寿命を縮めます。日常生活を送る上で支障をきたさないためにも早めの対策が重要です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋