父親が家事をするだけで子供に優しい家庭が増える?
日本では、他の先進諸国と比べて、父親の育児や家事をする時間が短く、労働時間は長い傾向にあります。「ワンオペ育児」といった言葉が象徴するように、育児や家事の大部分を担っているのは母親でしょう。
子供の問題行動に対する体罰は、効果が乏しいばかりか、有害な影響をもたらす可能性があります。しかし、ワンオペ育児によるストレスは、母親の子供に対する体罰を促す可能性も指摘されていました。そのような中、父親の育児や家事への参加と、母親の子供に対する体罰の関連性を検討した研究論文が、日本疫学会誌の電子版に2024年6月8日付で掲載されました。
この研究では、文科省と厚労省が実施している21世紀出生児縦断調査のデータから1万6373人が対象となりました。父親の家事や育児への参加度は、0点(全くない)~3点(いつもしている)の4段階で母親が評価しました。また、子供(3歳半)に対する母親の体罰については、「よくある」「時々」「まったくない」の3段階で母親が評価しています。
解析の結果、父親が家事に参加しているほど、母親の子供に対する体罰が低下する傾向を認めました。家事への参加が全くない父親と比べて、参加頻度が高い父親では、子供への体罰が最大で23%減少しました。