最上悠
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最上悠精神科医、医学博士

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

苦しむわが子を理解し、寄り添うにはどうすべきか?

公開日: 更新日:

 これまで不登校ひきこもりに苦しむ子どもたちに共通する背景に、親との関わりにおける「感情不全」が大きいことを解説してきました。

 不登校やひきこもりに至る子どもたちの多くは、その繊細さが故に、何げない親からの一言にも“PTSD級”に打ちひしがれたように感じる心の痛みを生じ、親の期待に応えられぬ自分に絶望的な自己嫌悪を持ち、親から見捨てられるかのような想像を超えた恐怖心に怯え苦しみます。そして、ありのままの自分と同値とも言うべき本能的な一次感情を表現することはおろか、押し殺し続け、自ら感じることさえわからなくなるほどに、苦しんだ挙げ句の感情不全に陥っていくのです。

 そしてその感情不全を抱えたまま、ひきこもってから無為に20年、30年と時を経て中高年を迎え、今やひきこもりの半数以上が中高年という現状を迎えつつあります。そんな苦しみの中にいるわが子を理解し、寄り添うにはどうすれば良いのでしょうか?

 何度も繰り返しているように、私はひきこもりや不登校の原因は、親だけが悪く、親だけの力で立て直せと言うつもりは毛頭ありません。親子で性格の違いが大きく、また繊細な子は隠すことに長けているので、感度で子にはるかに劣る親御さんにはもう察しようがない、というのは決して責められることではないと思うのです。問題は、そこに気づいたところで「これから何ができるか」ということです。

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